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令和4年秋季展
茶の湯の絵画と絵のある茶道具
茶席における絵は、季節の演出や茶会の意図を伝えるなどの働きを担っています。
掛物に限れば、室町時代においては唐絵が中心をなし、たとえば徐煕の鷺絵は松屋三名物の一つに数えられます。この原本は所在不明となってしまいましたが、「鷺図尾形光琳筆」(後期展示)「鷺絵賛 近松門左衛門筆」(前期展示)といった鷺の題材は、茶人に馴染み深い画題となりました。
16世紀後半には、周文や雪舟ら漢画をはじめとする日本で描かれた絵が使用されるようになります。17世紀に入ると茶人自ら筆を執って茶掛用の絵を描くようになり、「紅葉鹿絵賛 小堀遠州筆」(前期展示)や「慈円像 松花堂昭乗筆」(後期展示)などが描かれました。その後、琳派・文人画・写生派といった諸流派の登場とともに、絵の掛物はいっそうの広がりをみせます。
絵は掛物にとどまらず、茶道具に施されますが、その題材は山水や花鳥など多岐にわたり、似通った題材でも掛物とやきものでは表現に大きな違いも見られます。
前述の「紅葉鹿絵賛」では大きくデフォルメされた紅葉が2頭の鹿とバランスよく配置され、視線を右から左へ誘導します。仁阿弥道八作の「楓絵鉢」の紅葉は、鉄絵の具で紅葉を書いた上に白化粧が施され、黒と白の濃淡が印象的な絵に仕上げられています。
また、茶道具では、形と絵が相乗効果となって魅力を発揮しているものも多くあります。「祥瑞蜜柑水指」(重文)では、胴部の凹みに合わせて窓絵が描かれており、「住吉蒔絵平棗」(前期展示)では蓋に描かれた水の流れが胴部を通り、最後は身の裏底まで至って、水流が溜まるような表現がされています。
今回の展示では茶席で見られる「絵」に注目し、前後期で約50点の作品を展示します。
会期 | 2022年9月1日(木)~12月11日(日) 前期:9月1日(木)~10月23日(日) 後期:10月26日(水)~12月11日(日) |
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重要美術品 絵因果経断簡
(後期展示)
重要文化財 祥瑞蜜柑水指
(通期展示)
主な展示品 |
紅葉鹿絵賛 小堀遠州筆(前期展示) 慈円像 松花堂昭乗筆(後期展示) 鷺図 尾形光琳筆(後期展示) 鷺絵賛 近松門左衛門筆(前期展示) 住吉平蒔絵棗 山本春正作(前期展示) 楓絵鉢 高橋道八作(通期展示) |
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※今後の情勢により、予定が変更となる可能性がございます。