展覧会

平成26年 秋季特別展
大名たちの茶道具コレクション
      —遠州と不昧の蔵帳から—

 江戸時代の武家や豪商などが所蔵した道具類のリスト「蔵帳」のうち、特に大名家の所蔵品を記した「大名蔵帳」に載せられた茶道具を中心に展示いたします。

 大名の中には経済的なゆとりを背景に、特定の分野について膨大なコレクションをした人物がいました。西洋の書物や文物を大量に収集し習俗もオランダ式(西洋式)をまねた島津重豪など、江戸後期に登場した「蘭癖大名」などがこれにあたります。

 一方、これよりも早い江戸初期から大名たちがコレクションの対象としたのが実用性と美しさ「用の美」を備えた茶道具でした。

 大名たちは公式行事として茶室や広間に茶道具類を飾って客をもてなしたほか、私的にも茶の湯を愛好し、各家の格を示すために茶道具を揃えて所持することが多くみられました。このため大名蔵帳には絵画や書跡、茶入をはじめ様々な茶道具類が記載されています。これらは大名家のセレクションを経ており、茶道具の格付けの指標となっています。

 大名蔵帳の内で特に有名なのは、江戸初期を代表する大名で茶人の小堀遠州が収集した道具に関する『遠州蔵帳』、江戸時代後期の松江(雲州)の大名茶人であった松平不昧の収集による『雲州蔵帳』などがあります。今回は『遠州蔵帳』記載の茶道具から「瀬戸肩衝茶入 銘飛鳥川」など、『雲州蔵帳』記載の茶道具から「丹波耳付茶入 銘生野」「本阿弥空中作 信楽芋頭水指」などを展示します。

 その他、各地の大名家にゆかりのある茶道具と、さまざまな蔵帳に記載された茶道具の類品をあわせて展示し、大名家に伝来した茶道具の特徴を明らかにします。前・後期でのべ60点あまりを展示します(会期中、一部展示替えがあります)。

瀬戸肩衝茶入 銘飛鳥川 遠州蔵帳所載【前期】

会期 平成26年9月2日(火)〜12月14日(日)
前期:9月2日(火)〜10月19日(日)
後期:10月22日(水)〜12月14日(日)

吉田兼好筆 詠草 原鹿
雲州蔵帳所載【後期】

青磁獅子蓋井戸香炉
雲州蔵帳所載【前期】

瀬戸肩衝茶入 銘春山蛙声
前田利常・土屋政直所持【後期】

丹波耳付茶入 銘生野
小堀遠州所持・雲州蔵帳所載

長次郎作 黒茶碗
銘五月雨 若州酒井家伝来

本阿弥空中作 信楽芋頭水指
雲州蔵帳所載

主な展示品 千利休筆 消息(白餅の文) 遠州蔵帳所載【後期】
片桐石州作 竹尺八花入【後期】
道仁作 甑口水に芦地紋釜 尾張徳川家伝来
仁清 色絵結文香合 池田家伝来 【後期】
瀬戸唐津茶碗 銘郭公 雲州蔵帳所載
一入作 黒茶碗 銘曙 毛利家伝来
小堀遠州作 茶杓 銘柏樹子 遠州蔵帳所載
唐銅合子建水 遠州蔵帳所載

※期間中、一部展示替えがあります。