展覧会

令和3年夏季展
「茶道具の由緒・伝来と箱書」

 茶道具では作品自体の価値に加えて伝承が重んじられる場合があります。なぜ作られたのか(由緒)、どのように評価され・誰が持っていたのか(伝来)などですが、さらに茶道具の「銘」(雅称)が箱に書かれる場合もあります。これらは口伝えや茶の湯書、付属する「由緒書」などからも知ることができます。
由緒・伝来などを重視しない場合、箱は保存のため、箱書は開かなくても内容品を知ることができますから便利ですが、伝承などがわかれば作品に対する愛着や評価がより高く、豊かになるでしょう。
「高野切」(重文)は「古今和歌集」の原本は残っていませんので、現存最古の写本の一部ですが、箱書から紀貫之筆で、豊臣秀吉から高野山の木食応其に与えられたこと、のち山口徳山毛利家に伝わったこと、また付属の巻物から江戸時代前期に中根壱岐守が持っていたことなどがわかります。「高野切」本体からだけでは判らないことを由緒書や箱書が語ってくれます。
このほかに、江戸時代には大坂の豪商たちの間を渡ったことが「由緒書」からわかる「大井戸茶碗 銘「対馬」、古風な曲物の箱に入れられた黒茶碗 長次郎作 銘「春朝」、江戸前期の大名茶人小掘遠州や江戸後期松江の大名らが挽家や茶入の蓋、箱などを整えた丹波焼茶入 銘「生野」など、日ごろ、目にすることが少ない付属品から、由緒や伝来をご覧いただきます。

会期 2021年7月3日(土)〜8月9日(月・休)

(重文)伝紀貫之筆 高野切
「古今和歌集」最古の写本の断簡。
由緒書、箱書から徳山毛利家に伝わったことがわかります。

信楽鬼桶水指
川上不白の鑑定状や千家歴代の箱書があります。

丹波焼茶入 銘「生野」
「茶器名物図彙」などの茶の湯書に収録されています。

大井戸茶碗 銘「対馬」
大坂の豪商たちに伝わり、幕末に若狭の大名酒井家に伝わりました。

主な展示品 色絵結文香合 仁清
茶飯釜 和田国次作
黒茶碗 長次郎作 銘「春朝」
茶杓 千宗旦作 銘「ゆつり葉」
黄瀬戸建水 銘 「大脇指」
ギヤマン丸鉢 フランス・バカラ社製

※予告なく展示作品が変更になる場合があります。
※今後の情勢により、予定が変更となる可能性がございます。

公益財団法人 湯木美術館

開館時間
午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
休館日
毎週月曜日(9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)、10月14日(月・祝)、11月4日(月・祝)は開館)、9月17日(火)、9月24日(火)、10月15日(火)、10月22日(火)、11月5日(火)
入館料
入館料一般700円/大学生400円/高校生300円
住所
〒541-0046
大阪府大阪市中央区平野町3-3-9
お問い合わせ
TEL: 06-6203-0188
FAX: 06-6203-1080